アクションスターから人間ドラマを演じる俳優へジャッキー・チェンの新しい一面

世界的伝説の俳優、ジャッキー・チェンが本作では、物静かで、真面目で、重々しい雰囲気のある男、クァンを演じる。これは、ジャッキーにとって刺激的な新しい挑戦だったという。「変化が欲しかったんだ。いつも同じジャンルの映画に出演しているわけじゃない。例えば、『ライジング・ドラゴン』はインディ・ジョーンズタイプの作品だし、『新宿インシデント』は難しい作品だった。『スキップ・トレース』はコメディ。こんな風に、毎年、新しいタイプの作品に挑戦するんだ。『ザ・フォーリナー/復讐者』は、みなさんにジャッキー・チェンの新しい側面を見てもらえる機会になると思った。」

『ザ・フォーリナー/復讐者』でジャッキーが心を惹かれたのはアクションだけではない。胸がはりさけそうなストーリーもそうだ。「クァンは優しい父親です」と、チェンが言う。「ベトナムにいたころ、ふたりの娘がタイの海賊に誘拐され、レイプされるという悲劇を経験した。そして、ロンドンに移り、娘のファンが生まれたとき、妻が他界する。娘のファンを愛すること、守ることがクァンの人生の全てになった。ファンがテロで殺され、クァンは全てを失った。ファンの命だけではなく、テロに巻き込まれて殺された他の罪のない人の命のためにも、犯人グループに復讐をすることを決意する。」

ジャッキーは『ザ・フォーリナー/復讐者』に出演して、「アクションヒーロー」のイメージを壊し、シリアスな役に挑戦することに決めた。製作のスコット・ランプキンが次のように語っている。「ジャッキーは、クァンという人物に入り込んでいた。クァンのような役をジャッキーが演じているのを今まで見たことがなかった。ぼくらはみんな、ジャッキー・チェンが登場すると、カンフーで敵を倒してくれるのを期待するけど、ジャッキーは主人公を深く理解していた。クァンは、先までじっくり考えて行動する人物で、どんなふうに相手と戦うか、慎重に計画を立てている。どうやって娘の復讐をすすめるか、彼の頭のなかでは決まっているのだ。ストーリーが進むにつれて、クァンの変化がしっかりと伝わってくる。」

「娘の死で、クァンの心は完全に壊れてしまった。ただ静かに警察署に行き、犯人について尋ねる。クァンは、中華料理のレストランの収入で、地味な生活を送っている静かな男だ。しかし、どこか威厳がある」そう語るのは、監督のマーティン・キャンベルだ。「クァンは、バカ正直に、警察署長に全財産を渡して、残虐なテロを行った犯人の名前だけでも聞き出そうとする。」

スコット・ランプキンが続ける。「クァンには、過去がある。ベトナムではアメリカの軍の隊員として訓練をしたり、ゲリラ戦を行ったりしていた。過去に、悪者になった経験があるということだ。クァンは、自分を守る方法や、答えを見つける方法も知っている。娘を殺した犯人を見つけ出し、正義を追い求めることがクァンのミッションなのだ。」

ヘネシーに娘を殺した犯人のことを聞くものの、何も情報を得られなかった。クァンは、隠してきた過去の技術を使って、ヘネシーに自分が本気だということを分からせるしかない、と思った。「クァンがしたのは、些細なこと――小さな爆弾をヘネシーのオフィスと車にしかけ、どちらも人の命を奪えないほどの規模のものだった――だが、ヘネシーは分かっていた。クァンは実行しないだけで、ヘネシーの家族を皆殺しにするのは、彼にとって容易いことなのだ。」ジャッキーは、さらにこう続ける。「クァンは、犯人の名前を知りたいだけだ。復讐を遂げるまであきらめない、というクァンの意志は強かった。」苛立ちが高まるにつれて、それまで隠されていたクァンの能力が明らかになっていく。「失うものは何もない。復讐さえできれば、死んでもいいと思っていた。」そう語るのは、監督のマーティン・キャンベルだ。「犯人への復讐以外のことはどうでもよくなっている。」

製作のジェイミー・マーシャルはこう語る。「ぼくが最も驚いたことは、ジャッキーがすぐにクァンに入り込んでしまったことだよ。ヘアメイクの打ち合わせをして、マーティン・キャンベルと3時間リハーサルをすると、撮影の初日に現れたジャッキーはクァンになっていた。圧倒されたよ。それに、一緒に作品を作るのがすごく楽しい。おおらかで素晴らしい人だと思ったよ。ジャッキー以外にクァンを演じられる人はいないと思っている。」複雑な結末と、迫力満点の演技に、観客やジャッキー・チェンのファンはあっと驚くことだろう。

リーアム役を演じたピアース・ブロスナンは、次のように語っている。「ジャッキーが演じるクァンは、素晴らしい役だと思う。本当に素晴らしかったよ。すごく真剣にこの役を演じていた。アクションシーンだけじゃなくて、感情の面でも精神的にも。もしかすると、ジャッキーは今回の作品で、ものすごい人物を作り上げてしまったんじゃないかと思っている。この映画を見た人は、作品にはもちろん、ジャッキーに拍手と賞賛を贈りたくなるんじゃないかな。」 監督のキャンベルは、もっと簡潔な言葉で言う。「ジャッキーは、ただただ素晴らしい。」

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